けせらせら

なるようになる?

教えてね

大丈夫かなって心配した夜も、言いすぎたかなって迎えた朝も、相手にとっては些細な日常でしかなかったりする。丁度ロックンロールは鳴り止まないを聴いて泣いていた。指輪を外した日はよく眠れたんでしょうか。発泡酒が溶けて熱は冷めない。好きって言ったらどうする?なんて実際、どうなるわけでもないのにね。

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まあ 確かに今はフリーターだしどちらかと言えば女々しいしお酒もそんなに強くはないけれど 僕はタバコも吸わないし背も高いし家も近いしいつでも会いに行ってあげるしさ 言ってくれたら君が好きなあの曲だって寝る前に弾いて歌ってあげるよ?だからそんなやつもう ほっときなよ とかなんとか言ってさ え?このまえの話の続き?えっと そうそう 流行りの映画を見に行ったんだけど それがあんまり泣けなくって

振り向けば

 

振り向けば、夏。飲みかけのミルクティーとちょっとの倦怠感。錆付いた校舎と天気は晴れ時々曇りで蛇口を捻る女の子。白い制服と青いジャージは交差するみたいにそれぞれを歩いていて、そこをまだ帰らないでいた帰宅部の男子たちが教室から眺めてる。部室の窓は虫が入ってくるからと閉まっていた。9月のほとんどが過ぎようとしているのに午後6時を越えても陽が残っていたから、夏が でもまだここにいていいよ なんて言っているような気がして。

吹奏楽の音が止んで月が出始めた頃、体育館横の窓をふと見るとお互い気づいて、あの娘はそこから手を振る。周りの人が見ているから と恥ずかしくなって じゃあね とは言えなかったけれど、それに少しだけ手を振って。そんな些細で不器用なやりとりが堪らなく好きだった。

あの二人

 

私は目を疑った。暗い部屋の中 枕元であなたが使うスマホの明かりが眩しくって起きた私は寝ぼけたふりをしながら彼に抱きついてそれを覗いた。夢でもなんでもなかった。あの女からの通知があった。「うん もう、大丈夫だよ。」その言葉全部を信じていたわけではなかったし 人に二度となんてのはないんだってこともちゃんと分かっていて そのつもりだった。「ねえ何も思わないわけ?」彼がインスタグラムに載せたあの女との写真を見て友達は怒鳴るように私に迫った。何も思わないわけない 嫌じゃないはずがない だけどそういう付き合いは大人になれば普通なんだと思っていたし それで腹を立てるなんて何だか子供みたいで馬鹿馬鹿しい そんなことを自分に言い聞かせてきた。でもそれくらい と口に出そうとしたけれど 言葉が喉の方に詰まって出てこないまま しばらくしてそれを追加で頼んだレモンサワーと一緒に流し込んだ。「あの二人、仲良いよね。」 なんて答えると何だかとても惨めな気持ちになって それからは何も話さなかった。私はあの人の彼女だ 少なくとも今はそう この前だってふたりで と涙が溢れないように言葉を蓋にして次々言い聞かせる。考えてみれば当時 彼とまだ付き合っていなかった頃「あの二人、できてるよね?」なんて周りから茶化された時には 彼は少し嫌そうな顔をしてみせて 私は私で黙ったまま 顔を赤くしたものだった。なんとなく 怒る気にも 否定する気にもならなかった。私にとって何よりそれが嬉しかったのだ。あの日 彼にあの女との関係を問い詰めたとき 黙って話を聞いたまま 何も言わないあなたがすごく嫌だった。「あなたがいてくれるなら他に何もいらない。」 そんなことを言ってしまう私も私でなんか嫌だった。

だらしない

 

好意+故意+行為=恋?
こんなバカみたいな方程式
並べてはノートの隅の方に書き留めてみる
実際、そんなわけなかった
ねえ俺でもいい?
いや誰でもいい
この際お酒のせいにすればいい
なんなら君のせいにすればいい
あ、この君って一体どっちの君なんだろうね
とか、なんとか
それでもね、私にとってあの人は特別なの
ってなんかそれ、都合良すぎる
別に何もなかった ただの友達だから
こんなダメ男みたいなセリフ
自分の口から出るなんて思ってもなかったな
私みたいな人のことを、世間では
だらしない って言うんでしょう
ちょっとその気になってみただけだった
こんな関係、願ってもなかった
きっとだめだって分かってた
そうなんだけど、でも、でも
昨日のアルコールの匂いがまだ口元に残ってる
帰り道に虚しさで吐きそうになった