けせらせら

なるようになる?

振り向けば

 

振り向けば、夏。飲みかけのミルクティーとちょっとの倦怠感。錆付いた校舎と天気は晴れ時々曇りで蛇口を捻る女の子。白い制服と青いジャージは交差するみたいにそれぞれを歩いていて、そこをまだ帰らないでいた帰宅部の男子たちが教室から眺めてる。部室の窓は虫が入ってくるからと閉まっていた。9月のほとんどが過ぎようとしているのに午後6時を越えても陽が残っていたから、夏が でもまだここにいていいよ なんて言っているような気がして。

吹奏楽の音が止んで月が出始めた頃、体育館横の窓をふと見るとお互い気づいて、あの娘はそこから手を振る。周りの人が見ているから と恥ずかしくなって じゃあね とは言えなかったけれど、それに少しだけ手を振って。そんな些細で不器用なやりとりが堪らなく好きだった。